POINT
2020.01.31
『内転筋が痛い!』 膝の痛みの原因と解消ポイントを細かく知ろう
皆さんこんにちは。
「最近膝の内側が痛い」「整形外科に行った時に『膝の骨が変形しているね』と言われた」ということはございませんか?
確かに歳を重ねると膝の痛みや違和感というものが出てくるときがあります。
この記事ではそんな膝の痛みについてのスカッとポイントである内転筋をご紹介します。この内転筋の柔軟性がついてくるだけで、膝の内側の痛みがウソのようにスッと軽くなることがあるのです。
私たちが膝の痛みがある方に対し、内転筋をどのようにして施術をしているのか、普段行なっていることをお伝えします。
この記事を読むことで、膝の痛みから解消されることだと思います。ぜひ明日から実践してみてください。
内転筋の作りと作用について
内転筋の作り(解剖)について
内転筋というと1つの筋肉のように思われますが、実際には以下の筋肉で構成されています。
①恥骨筋
②短内転筋
③長内転筋
④大内転筋
⑤薄筋
※股関節に近い順に紹介
内転筋は「ももを閉じる」作用
内転筋は何をする筋肉かというと『ももを閉じる(両膝をつける)』作用があります。よって「内ももをキュッと締める」ことで鍛えることができます。
よくスポーツクラブでも、開脚の状態から内ももを閉めるトレーニングマシンがあると思います。この運動だと思ってください。
内転筋を見てみよう
それでは内転筋を個々で見てみましょう。
恥骨筋(内転筋の中で一番内側にある筋肉)
恥骨筋の特徴
① 恥骨筋というように恥骨という骨盤の骨につきます。
② 私は、サッカーをしているのですが私の股関節痛の原因にもなる筋肉です。
③ あぐらをかこうとした時につっぱる筋肉でもあります。あぐらをかいた時に左右の膝の高さが異なる方は、ここでひっかかっている可能性があるかもしれません。
④ 恥骨筋のスカッとポイントは下肢を広げて股関節に目掛けた筋腹の部分に発生します。
恥骨筋の付着部位、作用
起始:恥骨(恥骨上枝、恥骨櫛、恥骨靭帯)
停止:大腿骨内側(の恥骨筋線)
作用:股関節の内転、屈曲
長、短内転筋(内転筋の中でも目立つ筋肉)
長・短内転筋の特徴
① 作用として、股関節の内転、屈曲、外旋を行う筋肉です。
②内転筋全般に言えることですが、スポーツでは、平泳ぎのキックや、乗馬などで股を閉じる時に使います。
③長、短内転筋も起始部よりは、下肢を広げた時に突っ張るような筋腹の部分や、停止の部分がスカッとポイントになりやすいです。
長・短内転筋の付着部位、作用
起始:短=恥骨(恥骨結合と恥骨櫛の間)、長=恥骨(恥骨上枝)
停止:大腿骨内側(大腿骨粗線の内側唇上部1/3、中/1/3)
作用:股関節の内転
大内転筋(内転筋の中でも最大の筋肉)
大内転筋は、『大きい』という字がついているだけあって、内転筋の中でも広い範囲に渡って走行します。
大内転筋の特徴
① 骨への付着部も今まで紹介した内転筋が『恥骨』~『大腿骨内側』についていたのに加えて『坐骨』からも筋肉が起始します。
坐骨には、『ハムストリングス』と言われる、もも裏の股関節を伸展する筋肉も 付着するため、この部分が固まってしまっても骨盤をゆがめる原因になってしまいます。
③四足歩行時の名残として、大胸筋や、広背筋のように大内転筋も二足歩行時は、捻じれています。四つん這いになることで、その捻じれも取れますが、捻じれている部分は、筋肉が重なりあって擦れやすいことが原因でスカッとポイントが発生しやすい場所でもあります。
大内転筋の付着部位、作用
停止部が二方向に分かれて停止します。
起始:恥骨(恥骨下枝)、坐骨(坐骨枝、坐骨結節)
停止:大腿骨(大腿骨粗線内側唇)および大腿骨内側上顆(内転筋結節)
大内転筋と膝の痛みとの関係
内転筋群は、ハンター管(内転筋管)と呼ばれる穴の形成にも関与しています。ハンター管の中を大腿動静脈、伏在神経、下行大動脈が走行します。よって、この部位が絞扼されることで
1) 静脈が心臓に戻らず、下肢が浮腫む原因となってしまいます。
2) 伏在神経を絞扼されることで膝内側、膝下から内くるぶしなどに神経痛やしびれなどの症状が発生する原因となります。
場所は、膝の少し上の内側に位置し大内転筋、長内転筋、縫工筋、内側広筋に囲まれる形になっています。このような筋肉が重なりやすい部分はやはりスカッとポイントになり得る場所でもあるのです。
つまり、足の痺れの原因がこの部位の絞扼のパターンの場合は、膝の内側のスカッとポイントを使ってアプローチをしていくことで症状が緩和してきます。
レントゲンやMRIで異常がなく、腰の神経絞扼がないのに下肢が内側がチリチリ痺れる、もしくは表面が痛む場合は、この部位の絞扼を視野にいれて行う必要があります。
薄筋(内転筋の中でも膝の痛みに直結する筋肉)
薄筋の特徴
① 内転筋群の中では唯一の二関節筋(股関節と膝関節両方をまたぐ筋)であるため、股関節と膝関節両方の働きに作用します。
② 半腱様筋と縫工筋とで鵞足を形成します。
③ 長い帯状の筋肉で大腿の最も内側を走る筋肉です。
④ 膝の前十字靭帯の再建術に使われる筋肉でもあります。
薄筋の付着部位と作用
起始:恥骨(恥骨下肢の内縁)
停止:脛骨粗面の内側
作用:股関節→内転・膝関節→屈曲やや内旋
薄筋と膝の痛みとの関係
前回の縫工筋の際にも出てきましたが、鵞足(がそく)について簡単に説明しておきます。
※参考;股関節の痛み、膝の痛みには「もも前面のスカッとポイント」
鵞足とは縫工筋、薄筋、半腱様筋が腱となり膝の内側で脛骨の上部に付着している部分です。その3つの腱が着く形がガチョウの足のように見えるため、こう呼ばれています。
また、この部分が炎症する鵞足炎というものがあります。通常この鵞足の腱や鵞足の滑液包が炎症を起こしている状態で、陸上やサッカーの選手などが起きやすいのです。ウォーミングアップ不足や、使いすぎが原因としてあげられますが、X脚や回内足などの骨格異常やアスファルトでの走行なども発生の原因となります。よって走っていて膝の内側が痛い場合は注意が必要です。
また年齢を重ねると、この鵞足の部分に痛みが生じることがあります。この場合は縫工筋、薄筋、半腱様筋の硬化が考えられます。よってこの3つの筋肉と腱を緩めることで症状が緩和・改善してくるのです。よってこの鵞足を形成する縫工筋、薄筋、半腱様筋のスカッとポイントへのアプローチが有効的です。
内転筋を含めた股関節は、筋肉をバランスよく保つこと
これまでで内転筋の働きと膝の痛みとの関係性が理解できたと思います。また内転筋を的確に緩めることで、膝の痛みをその場で軽減することができます。
ただ最終的に膝周りを良い状態を保つには、内転筋だけでなく膝に関連する大腿四頭筋、大腿筋膜張筋、ハムストリングスなども含めた筋力のバランスを整えることが大切です。
骨盤前傾の方は、大腿四頭筋を緩める
例えば、骨盤前傾で大腿四頭筋が使われすぎることにより、下肢が内旋、X脚となり、膝の内側に痛みが出やすくなります。つまりこのパターンでは四頭筋は鍛えるのではなくストレッチをしなければなりません。
骨盤後傾の方は、ハムストリングスを緩める
また、骨盤後傾の場合は、ハムストリングスで身体を支えるために、ハムストリングスが使われすぎて骨盤が後傾、がに股になってしまい膝の外側に痛みが出てしまう可能性があります。この場合もハムストリングスを鍛えるのではなく、逆に柔軟性を出していかなければなりません。
内転筋は柔軟性も筋力も低下しやすい
このように、筋肉は必ずしも鍛えた方が良いだけではなく、時にはストレッチで骨と筋のバランスをとる必要があるのです。これに対して内転筋は、柔軟性も筋力も共に低下しやすい筋肉です。
なぜかというとあなたの日常生活動作を思い返してみるとわかると思います。内転筋を伸ばす動きや、意図的に使用する動きは圧倒的に少ないのです(日常的に乗馬や平泳ぎをしている方は別ですが…)。
もちろん、内転筋を鍛えることは大切ですが、今自分の骨盤、下肢のゆがみがどのような状態で、どの筋肉を鍛え、どの筋肉をストレッチしてあげればよいのか分かった状態でアプローチをかけてあげられるとより効果が出しやすくなります。
内転筋を伸ばす、いつでも簡単かつ効果的な2つのストレッチ
特に内転筋は日常では意図的に使われないので、硬くなりやすいのです。よって膝の痛みを解消するには、筋力をつけることも大切ですが、それよりもむしろストレッチの方が重要なのです。
内転筋のストレッチ①股割り
簡単なのは股割りです。特に股関節の付け根付近を伸ばすのに効果的です。
内転筋のストレッチ②伸脚運動
よく学校の体育の準備運動で行なっていたものです。しっかりやると意外と効果があります。
まとめ
膝の痛みというと、整形外科ではX-Pを診て「変形しているから」と言われてしまいがちです。しかし筋肉の構造などを触ってみると、内転筋が原因であることが意外と多いものです。
膝の痛みがある方は、少しでも内転筋への理解を深め、ケアに取り組んでいただければと思います。膝の痛みは放っておくと歩くのもしんどくなります。あまり良いこととは言えません。
当店では姿勢や筋力バランスの診断、マッサージ、ストレッチのアプローチ方法のご相談、セルフケアの指導も行っておりますので、お気軽にご相談ください。